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Channel: 創苑の杜
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完成慰労会

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お客様がお庭の完成慰労会を開いてくださった

お庭のご相談をいただいてから2年近くお待ちいただいての完成となった

創苑の庭作りは規模が大きくても小さくても人手と資材を押し込んで短期間に作ることはしない

その土地から生まれてくるようにひとつひとつ丁寧に創り出していく

結果、作業期間はどうしても長くなるがその分お客様には長く長く可愛がっていただけるお庭になると信じている

今回も田植えの時期に始まり、完成の頃には稲刈りが始まっていた

「手っ取り早くできるものに心は宿らない」

今は亡き高倉健さんが映画作りに対する気持ちを語った言葉だが、我々の庭作りにも、いや全てのことに当てはまると思う

お客様宅に泊めていただき家族みんなで美味しい食事をして酒を酌み交わし、いろんな話を聞き、またさせていただいた

たくさんの造園業者さんに作庭の相談をされたそうだが余りにも素早い対応に戸惑ったそうだ

パソコンのデータから類似した敷地の作庭サンプルをピックアップして編集した提案図が瞬く間にプリントアウトされて目の前に出てくるらしい

対してうちは何度も現地に足を運んで、その風土を感じてから案を作成する

当然手描きの図案だ

イメージ 2



手描きをするということは、実務と同じように紙上にひとつひとつ石を積み、木を植え、苔をはっていくことと同じだと考えるからだ

手描きすることによって作庭作業の予行練習をしているのである

特に今回は雪の多い土地なので積雪の状態を把握するのにひと冬かけて様子を観察することもした

当然時間はかかる

そうしないとせっかくお金をかけて生んだ庭がその土地で健全に育たない、と考えるからだ

庭を育てるのはそこの風土であり、その風土に育てられている人々の愛情なのだから

人も庭も全く同じだと捉えている

お客様のお風呂に入らせていただいた

イメージ 1



目の前にあるのは自分が提案して生み出した空間

窓を開ける

浴室内の湯気が一気に外に流れ出し、石垣や石の隙間から生えているシダに適度な潤いを与えてくれた

石垣の洞穴には雫が落ち、中に仕込んだ甕から琴のような水滴音がかすかに聞こえる

気がついたら長湯をしていた

ああ、ここに創って良かった

そう思えた瞬間だった

「これからもずっとおつきあいください


お客様にそう言っていただいた

もちろんです、庭という子供の成長をずっと見守り、手伝うのが我々の使命だから

お客様のおかげで我々も成長できた

この感謝の気持ちを次の作庭の糧に変えてさらにより良い風土、風景を創造していきたい

O様、ありがとうございました




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